公民館の風第544号(通算1176号)
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 公民館の風 No.544(通算No.1176) 2019年4月7日発行 編集・発行 内田光俊 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆岡山市立公民館基本方針が完成◆『冊子コーヒーハウス』が完成◆「よく わかるESDまんが読本2」の第2版発行◆尼崎市職員に関する振り返り会◆ 那覇市の若狭公民館からの役立ち情報◆編集後記◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
■◆ 2030年へ向けた「岡山市立公民館基本方針」が完成しました ◆■
平成30年度に策定作業を進めてきた「岡山市立公民館基本方針」が教育委 員会で決定されました。決定版のファイルを別添しています。 策定過程では、短期間の中で、アンケートの実施、市民・職員のみなさま の意見を集約いただいてのフォーラムや意見交換会の開催、パブリックコメ ントに向けたフォーラムや意見提出の呼びかけなど、各公民館に協力いただ き作業が進められました。 最終段階では社会教育委員会議はもちろん、市議会市民文教委員会でも説 明して、そこで出された意見を受けての修正も行い、最終的に教育委員会に かけて行政の方針として決定、公表したものです。 本基本方針は、これからの公民館事業の基本的な考え方をまとめたもので、 今後、具体的な取組へ向けて、公民館職員はもちろん、公民館運営委員会の みなさんや公民館利用者である市民、また、NPOや学校等の教育機関、や関 連する行政機関、さら地元の企業、各種団体等とも連携を図りながら、新し い公民館づくりを推進していくことになります。 この基本方針づくりは、直接的には全中学校区への公民館整備が完了し、 中央公民館を廃止したもとで、今後10年間の公民館が取組むべき基本的な方 針を定めることが教育委員会の方針として示されたことを受けて、昨年度か ら設置された公民館振興室と生涯学習課が協力して事務局を担う形で、公民 館職員や生涯学習課(公民館振興室)職員、さらには市民協働企画総務課の 職員などでプロジェクトチームを組んで、策定作業を進めてきたものです。 作業のプロセスでは、まず2000年の公民館検討委員会答申や、2002年の新 しい公民館づくり小委員会報告の内容とそれを受けての公民館実践の成果や 到達を確認する作業から始めました。現在の公民館をとりまく状況や地域社 会等が抱える問題を踏まえて、10年後(2030年)の公民館の姿を描いて、そ の実現のための課題や大まかな取組が整理されました。2030年を意識するだ けにSDGsの達成とその学びとしてのESDも当然意識して盛り込んでもありま す。SDGsやESDをきちんと盛り込んだ公民館の行政としての方針書はまだあ まりないのではないかとおもえるので、その意味では画期的な文書と言える のではないかと思います。 かつての公民館検討委員会答申は、当時の公民館嘱託職員の正規化と全公 民館への社会教育主事配置を実現する上で大きな力となりましたが、元々、 市教委として職員の正規職員化を進めるために検討委員会を作って答申を出 してもらい、その内容を実現するという形で職員制度を改善していこうとい う政策というか方針が先にあっての答申でした。そこで、答申を受けての行 政としての方針や計画というものは作らないままで、職員制度改善や答申が 描いた「共生まちづくりの拠点としての公民館づくり」を具体化するための 実践が取組まれてきました。その成果はその後のESDの取組の進展を活かし た公民館-CLC国際会議の開催や、ユネスコ/日本ESD賞、ユネスコ学習都市 賞の受賞等の成果にもつながりました。 行政方針としての公民館の今後の事業の在り方を示したこの基本方針は、 岡山市の歴史上初めて作成された公民館の業法方針書なのです。行政自らが 策定すると決め、市民の意見を多重な取組を経て取り入れ、行政内部はもち ろん市議会での議論を経て完成させたこの基本方針の意味は、決して小さく はないと思います。 発行人は公民館検討委員会答申や新しい公民館づくり小委員会報告づくり の事務局を担当した者であり、その後の答申の具体化のために、中央公民館 において答申後の当初の9年間を、公民館全体を指導する立場で仕事をして きた者なので、このプロジェクトチームでもオブザーバーとして参加してき ました。(実態はチームメンバーの一人という以上に、事務局の一人として の仕事をしてきた感じ) しかし、実際の方針執筆で中心を担ったのは、ESD推進課から昨年4月に 異動してきたばかりの友延主査で、彼の長年の市民活動やNPOセンター理事 としての経験、さらに発行人とともに取り組んだESD世界会議や公民館-CLC 国際会議とその後のESD推進の経験、その中で身に着けてきた発想、考え方 が活かされたように思えます。その友延と発行人が中心を担う形で進んだ基 本計画づくりでしたが、市民フォーラムやパブリックコメントで寄せられた 意見を真摯に受け止めて書き直しを繰り返して、最終版が完成したのでした。 発行人としての思いを書きすぎた感がありますが、上のような経過を頭に おいて読んでいただければと思います。
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■◆ 徳島市の島本さんから 『冊子コーヒーハウス』が完成! ◆■
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■◆ 「よくわかるESDまんが読本2」の第2版(SDGs対応版) を発行しました ◆■
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■◆ 長野県の木下さんから 尼崎市職員に関する振り返り会の参加報告 ◆■
【目次】 ○ 多彩な参加者による振り返り ○ 飯田市に赴任して感じた「あれ?」 ▽ 会議終了後のコミュニケーションを大事にする ▽ 仕事と一見かかわりのない飲み会にも参加する ▽ 住民目線で仕事をするって? ▽ 仕事とプライベートの境界のあいまいさ ▽ 公共の仕事をしていただく?→共にする ▽ プロセスを大事にする仕事の仕方 ○ 尼崎市と飯田市の交流の中で職員の育ちあいを続けたい~飯田市松下 部長 ▽ 地域住民との協働体験で育つ公民館主事 ▽ チーム自治振興センターの構築を ▽ まちづくり委員会と公民館 ▽ 次世代育成に向けた両市の交流を ▽ 地域住民との関わりの中で気づいたこと ▽ 行政職員の2つのぶれ ○ 住民をカウンターパートとして向き合う職員養成に向けて~森山副市長 ○ 今改めて、公民館とは何か ○ 改めて公民館って何~東北大学佐藤さん ○ これから
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■◆ 若狭公民館・地域サポートわかさが取り上げられた 刊行物のご紹介 ◆■
●「企画づくりのじゃやばら手帳」は絶賛販売中でございます! 値段は1冊、1,500円+税。
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