公民館の風第296号(通算928号)
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 公民館の風 No.296(通算No.928) 2015年12月18日発行 編集・発行 内田光俊 (mitsutoshi-u@o.email.ne.jp) 〒702-8044 岡山市南区福島2-19-9 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆飯田市の木下さのコメント◆UILからの募集◆地域づくりコーディネータ ー研修◆新聞記事等◆編集後記◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
■◆ 飯田市公民館の木下副館長さんから 東京の井口さん、吉野さんのコメントに対してのリプライ ◆■
飯田市公民館の木下です。少し長くなりますがご容赦ください。 12月5日、6日と公民館GPの取組を交流することを目的とした文科省コンフ ァレンス事業を受託して、愛媛県の伊予大洲市で開催された「地域教育実践 交流集会」に参加してきました。 飯田からは長野県飯田OIDE長姫高校が、松本大学と飯田市(中心は飯田市 公民館)と連携して取り組む「地域を愛し、地域を学び、地域に貢献する」 人材を育成する「地域人教育」について、高校教諭、生徒、公民館職員、あ わせて4人で報告してきました。今回はこの事例は本題ではありませんので 割愛します。 この会は、元々は愛媛県の公民館の活動に関わる職員や住民の有志が企画 して今年で8回目を迎えたのですが、文科省コンファレンスと重ねたことで、 北は北海道、南は鹿児島から350人が参加し、大変にぎやかな会となりました。 私たちは中部国際空港から松山空港まで飛行機で行き、そこから会場であ る伊予大洲市にある「国立青少年交流の家」までは実行委員に迎えに来てい ただき、車で1時間ほどかけて会場入りしました。迎えに来てくれた方はて っきり自治体の職員の方ばかり思って話をしていたのですが、新居浜市の篠 原茂さんという市議会議員の方でした。篠原さんは新居浜市泉川公民館の活 動の中から育てられて今の自分があると話して下さり、その縁でこの会の実 行委員を務められているとのことでした。 2日間の集会の中で、元気な公民館・社会教育職員や元公民館・社会教育職 員、元気な住民の皆さんにたくさん出会い、愛媛県において公民館は今なお 地域や自治体において確かな存在感を持つ機関であることを実感してきまし た。 また、12月12日、13日は日本公民館学会研究大会が和歌山大学で行われ、 飯田から2人の公民館主事とともに参加しました。このうち初日は和歌山大 学地域連携・生涯学習センターが企画した、生涯学習フォーラムが行われた のですが、和歌山県内の海南市、橋本市、有田市の公民館の取組みについて の報告をお聞きしました。 和歌山県では和歌山大学が地域自治や地域における公民館・社会教育の活 動をしっかり支えていることもあり、たとえば海南市では合併した旧下津町 に新たに5つの公民館を新設するなど、全国的な公民館の退潮傾向と異なる流 れが生まれています。また翌日の課題別研究会「震災後の社会と公民館」で 同じく和歌山県田辺市の事例の中で報告された「市民カレッジ」は、災害や エネルギーの問題を住民と職員が合同で学ぶ場となっており、2日間を通し て和歌山県内の公民館の新たな可能性を知る機会となりました。 愛媛県の多くの公民館や和歌山県の海南市や田辺市の公民館職員は行政職 員として自治体に採用され、異動の一環で公民館に配属されるという意味で は飯田市と同様なのですが、飯田との違いがあるとすれば、公民館事業の企 画や運営に関わる専門委員会という住民層の方たちの存在かな、ととらえて い ます。 井口さんや吉野さんの発言を読んで、飯田市の公民館主事たちの力量形成 に大きく影響しているのは、地域の課題に当事者として向き合う専門委員の 住民の皆さんとの関係性です。 松本市の高橋さんが「公民館主事として地域とつながっていく気持ち」と 表現されていることが、専門委員の皆さんなど、当事者性を持つ地域住民の 皆さんとの日常の関係の中で、公民館・社会教育職員、自治体職員としての 事故を形成していっているのではないかと思います。 この点で和歌山県内各地の公民館の動きは、自治体が主導的な感があり、 和歌山大学でこの取組を支えている地域連携・生涯学習センター講師の西川 さんも、飯田市の専門委員会のような住民側に公民館の活動に主体的に関わ る住民層の存在・形成が課題かな、という話をしていただきました。「都市 型公民館」においても利用者の方たちとの関係の中で職員が学び・育つとい う関係は当然あると思うのですが、「農村型公民館」においては、地域の中 で影響力を持った住民層が公民館に存在し、そういう人たちとの関係性の中 で公民館主事たちは地域や人、あるいは地域課題を知り・学び、育っていく という側面が大変重要であるととらえています。 少し話はそれますが、今年7月15日に現在は阿智村在住で元所沢市の社会 教育職員を務められていた細山俊男さんを講師とした飯田市の公民館長と主 事の合同研修会を開催しました。 細山さんのお話は、参加したメンバーにとって本当に心に残るもので、38 年間の社会教育現場での仕事を全うされてきた専門性を強く感じる機会でし た。例えば公民館に集う方たち一人ひとりの対話から、その方たちの言葉の 奥に潜む課題や可能性を引き出していく力など、長くこの仕事についてきた 経験を土台とした学びがあるからこそ形成される専門性があるのではないか ととらえています。こういう力量を専門職採用ではない飯田の公民館主事た ちがどのようにしたら身に着けていくことができるかが課題ととらえていま す。 公民館や職員の在り方は、自治体によって多彩にあってしかるべきととら えており、飯田や松本の施行する姿もあってよいものと思いますし、井口さ んたちが東京で目指そうとされる形もあってよいと思います。 地域固有のスタイルを前提としながら、その地域に暮らす住民や地域にと って、必要な機能を発揮できているかどうかが何よりも大事ではないかと思 います。 ************************ 〒395-0085 長野県飯田市吾妻町139番地 飯田市公民館 副館長 木下巨一 tel 0265-22-1132 fax 0265-22-1022 e-mail ic1267@city.iida.nagano.jp 公民館には特定の役者も演出家も用意されていない。 舞台装置も脚本家も何もかも一切合財皆がやるのだ。 そして観客は一人も居ないのである。… 面白い芝居を見ようとするのではなく、 良い芝居を演じようとするのである。… 公民館には観客は一人も居ないのである。 〔昭和23年3月竜丘村(現飯田市竜丘)公民館報 第1号、初代教養部長橋本玄進氏の言葉より (「地域と公民館~自治への憧憬」(木下陸奥氏著、南 信州新聞社刊より引用))〕 ************************
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■◆ UIL(ユネスコ生涯学習研究所)からの プロジェクトオフィサーの募集 ◆■ Dear All, The UNESCO Institute for Lifelong Learning (UIL) is looking for a Project Officer to join its team in Hamburg (Germany). The candidate will work with a professional team in the Adult Learning and Education programme. For more information, please visit the UIL website: http://uil.unesco.org/topic/careers-and-opportunities Best regards, UIL Team UIL Feldbrunnenstr. 58 20148 Hamburg Germany Tel. ++49 (0) 40 44 80 41 0 Fax ++49 (0) 40 410 77 23 www.unesco.org/uil
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■◆ 地域づくりコーディネーター研修会@東京募集中 大切なわがまちを守りたい!」 ~地元を愛する人たちの未来への挑戦~ ◆■
平成27年度第2回は時代とともに活気が失われつつある大切な「わがま ち」を次世代に残すためにアクティブに活動している実践家を招き、参加者 とともに「わがまち」の未来に向けて、議論を深めて参りますのでみなさま、 是非ご参加ください。 日程:平成28年2月12日(金)13時~ 場所:東京八重洲ホール201会議室(東京都中央区日本橋3-4-13新第一ビル) ◆出演者 事例発表 椎名 喜予 氏 <千葉県香取市> NPO法人江戸優り佐原まちづくり フォーラム 事務局長 小松 圭子 氏 <高知県安芸市> 有限会社はたやま夢楽 飯干 淳志 氏 <宮崎県高千穂町> 高千穂ムラたび活性化協議会 ◆パネルディスカッション コーディネーター 岡﨑 昌之 法政大学名誉教授 地域づくり団体全国協議会 会長 パネリスト 椎名 喜予 氏 小松 圭子 氏 飯干 淳志 氏 スケジュール 平成28年2月12日(金) 12:30 開場/受付 13:00 開会 挨拶 研修会の趣旨説明 14:00 事例発表 15:40 パネルディスカッション 18:00 交流会(希望者のみ) 対象者 地域活性化に熱意をお持ちの方(都道府県協議会担当者、地域づくりに携 わる方々) 参加費 5,000円(交流会参加者は別途3,000円) 申し込みについて 郵送・FAX・電子メールのいずれかの方法にて、事務局へご連絡下さい。 郵送・FAXの場合はチラシの裏面をご記入のうえ、送付願います。但し、 定員になり次第、締め切らせていただきます。 その他事項 後援:総務省、全国市町村振興協会、地域活性化センター 問合せ先:地域づくり団体全国協議会事務局(電話03-5202-6135)
============================================================= ■新聞記事等の紹介■ ------------------- ◆◆ 伊丹市社会教育委員の会提言提出 ◆◆ 平成26・27年度の2ヵ年にわたり、「公民館のあり方」について討議され、 平成27年11月10日に教育長を通じて、教育委員会に提言の提出がありました。 提言 「伊丹の魅力を高める公民館のあり方」~つながりを生かしたひとづ くり~ (1)市民の活動を後押しする学びの環境 (2)グループ活動の支援と市民の参画 (3)学びの機会の提供 (4)学校との連携 (5)組織と管理運営 以上5項目について提言がありました。(提言書添付) http://bit.ly/1YgF03d 伊丹市ホームページ】 -------------------- ◆◆ 玉野市(岡山県)、2017年4月に開館予定の新図書館と中央公民館に 関するワークショップを基に施設レイアウトを決定し、公開 ◆◆ 玉野市は、2015年7月から9月にかけて実施された「新☆図書館&公民館を 創るワークショップ」を経て、決定した新図書館と中央公民館のレイアウト を発表しました。指定管理業者から提案のあったレイアウトを基に、3回に わたるワークショップによって改善が加えられたもので、それぞれの成果 (添付の図面)などが公開されています。「図書館の中に公民館の機能が点 在」する設計となったとされています。 図書館・中央公民館の移転・整備に関する情報(玉野市, 2015/11/4) http://www.city.tamano.lg.jp/docs/2015070700048/ 『広報たまの』 11月号, No.1179(玉野市) http://www.city.tamano.lg.jp/docs/2015110200026/files/4271201_11.pdf ※pp.8~10にワークショップについての記事が掲載されています。 参考: 玉野市、市立図書館の利用者などを対象に「新☆図書館&公民館を創るワ ークショップ」を開催 Posted 2015年7月21日 http://current.ndl.go.jp/node/28955 http://bit.ly/1Ur4J8I 【カレントアウェアネス・ポータル】 http://bit.ly/1OsFI8z(バーチャルツアー動画) --------------------- ◆◆ 図書館と公民館がコラボ企画 複合施設のメリット生かし ◆◆ 図書館と公民館がコラボ企画 複合施設のメリット生かし複合施設内で同 居している図書館と公民館(市民センター)がイベントを共催するという趣 向を凝らした取り組みが鹿角市であり、参加者たちを楽しませました。 これは、鹿角市で今年春にオープンした学習文化交流施設内に入っている 花輪図書館と、花輪市民センターが共催した「図書館食堂」と題したイベン トです。複合施設のメリットを生かそうと両者がイベントを共催することと し、図書館の蔵書の小説や絵本に出てくる料理を、市民センターの調理室で 再現しようという趣向を凝らしたものとなりました。 http://bit.ly/1mhrssA 2015/12/11【鹿角コミュニティFM】 --------------------- ◆◆ 地域との絆大切に 百道浜公民館開館20周年 文化祭が結ぶ人と人 ◆◆ 百道浜公民館の文化祭が11月14、15日に開催されました。35のグループ・ サークルが活動の成果を発表する毎年恒例の行事です。開館20周年を迎えた 今年は、多くの人でにぎわいました。同公民館の梶山美知子館長(67)は、 「サークル活動の成果が、公民館だけでなくさまざまな場で披露され、地域 全体が活気づけばと思います。これからも地域との絆を大切にしたいですね」 と話しました。 http://bit.ly/1I3r22T 【福岡市ホームページ】 --------------------- ◆◆ 「孤児助けなくては」中国人養母語る 阿智で満蒙開拓シンポ ◆◆ 終戦後、旧満州(現中国東北部)に取り残された開拓団の孤児たちを育て た中国養父母らを招き、話を聞くシンポジウム(満蒙(まんもう)開拓平和 記念館主催)が十二日、阿智村駒場の中央公民館で開かれた。養母や支援団 体メンバーらが来日し、約百人が話に聞き入った。 http://bit.ly/1IPIE2t 2015/12/13【中日新聞】 --------------------- ◆◆ 「真冬の花火」公民館に輝く 多治見 ◆◆ 多治見市市之倉町の市之倉公民館で、壁面にイルミネーションが飾り付け られている。「真冬の花火」がテーマで、二十五日まで毎晩、周辺を照らす。 住民十人余でつくる「公民館活性化委員の会」が二〇〇三年から毎年、テー マを変えて飾り付ける。費用は、地域の催しでの軽食販売の収益で賄ってい る。 http://bit.ly/1m0qocb 2015/12/11【中日新聞】 --------------------- ◆◆ 第2の人生を学ぶ 中央公民館で市民大学講座 ◆◆ 新しい人生にチャレンジし、いきいきと日々を暮らしている人を講師に招 いた市民大学講座「リタイア後の達人 人生が2倍輝く生き方のすゝめ」が 平塚市中央公民館4A講義室で催される。2016年2月2日から3月2 日まで。定員40人。全6回で午前10時から11時半。参加費300円。公官庁 や企業に勤めていた頃の経験、新しいキャリアがもたらした人生の味わいな どについて語る。 http://bit.ly/1QnWbAS 2015/12/10【タウンニュース】 ======================================================== ■編集後記■ ◆今号は飯田市公民館の木下さんからリプライを掲載しました。木下さんの 文章中に和歌山大学で行われた日本公民館学会研究大会における和歌山大 学地域連携・生涯学習センターが企画した生涯学習 フォーラムに参加され ての感想も書かれていますので、その紹介としての読み物にもなっていま す。 ◆新聞記事紹介の中でトップに置いた岡山県玉野市の図書館と公民館の複合 化整備計画は「図書館の中に公民館の機能が点在」する設計となったとさ れています。実は、ある縁から玉野市の図書館問題について考え行動され ている皆さんの会合に参加する機会があり、この詳しい平面図も手元に持 っているのです。本当に図書館のフロアーの中に公民館の調理室などが点 在する。その活動の様子が周りから見える構造になっています。しかし、 わいわいがやがやが大切な公民館、比較的に静かに本を読むことができる 環境が求められる図書館がうまく融合できるか心配です。調理室で作った 料理の臭いは、よほどうまく排気して負圧がかかるくらいにしておかない と、図書館中にその匂いが広がってしまい、ひんしゅくを買いそうです。 感想としては、図書館と公民館の機能を最大限発揮するためよりも、物珍 しさ、みせかけの新しさをめざしたコンセプトが原因のように思います。 いまさらではありますが、地元の住民・利用者の方々との学習会などがで きれば、このおかしな設計のもとでも少しでも用施設になるよう働きかけ る一助にできるかもしれないなどと考えているところです。 ◆偶然にもすぐ下の記事は、鹿角市の図書館と公民館が合施設のメリットを 生かしたコラボ企画を実施したことを紹介するものでした。しかもその内 容が「図書館食堂」と題したイベントで、調理室を使うものとは。(光俊)