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公民館の風第295号(通算927号)

*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 公民館の風 No.295(通算No.927)                                2015年12月15日発行       編集・発行  内田光俊 (mitsutoshi-u@o.email.ne.jp)                   〒702-8044 岡山市南区福島2-19-9  ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆板橋区・吉野さんのコメント◆国立市の井口さんからコメントへのリプラ イ◆「つなげよう、支えよう森里川海」全国リレーフォーラム◆新聞記事等 ◆編集後◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

■◆   板橋区の吉野さんからのコメント  ◆■

 いつもお世話になっております。吉野@板橋区です。  「東京宣言」のことで、今までの議論を踏まえ、少し思うところを書いて みます。  「東京宣言」は、副題に「多摩地域からの発信」とありますが、区部でも 同じ課題を抱えている面があります。  とくに、公民館の地域配置が進んでいないというのはその通りで、板橋区 では人口50万超に社会教育会館は2館です。行政的には、18の地域センター が置かれ、町会連合会も地域センター管内ごとに組織されています。ですが、 地域センターに社会教育会館を併設するのは板橋区の場合は意味がないこと だと私は考えています。  それは、1つは小中学校の学区は地域センターの区割りとは異なっている ことがありますが、もう1つは、23区の中でも“周辺区”と言われる地域に ありがちな、人口密度の高さと、住民の状況の多様さ(経済的にも、興味関 心や生活課題、地域ごとの課題の面でも)です。  地域ごとの課題はもちろんあり(都外の方にもイメージしやすそうな例を あげると、例えば高島平地域の住民の高齢化)、地域ごとの学習の機会も必 要であり、それには近年、NPOなどと協働して取り組んできました。  しかし、全体的には、社会教育会館は教育施設としての役割に徹してきた ことで、社会教育会館が生き残り、区民にとって必要な施設であると考えら れてきた歴史が板橋区にはあります。  神代さんの「公民館の最大の課題は、公民館職員が社会とつながってない ことだ」という指摘もその通りだと思いますし、松本市の高橋さんがおっし ゃる「自分が公民館主事としてその地区に関わっているという気持ち」や木 下さんがおっしゃる、自治体職員としての基礎を公民館主事の経験に置く、 ということもよくわかるのですが、そのうえで、教育機関・施設としての公 民館、教育職として(もっと言えば、教育者として)の社会教育主事および その他の社会教育専門職員、それぞれに固有の価値やミッションは何なのか、 ということが課題なのではないかと思うのです。  というのは、そもそも公民館(および類似施設)や社会教育主事等の専門 職員の廃止といった行政の動きは、教育機関・施設として、教育職員として、 どんな成果をあげているのかが見えないからではないかと思うのです。  逆に、教育委員会の中に置かれ常勤職員が配置されている公民館には、教 育機関・施設として果たしてきた固有の役割が何かしらあるのではないかと 思いますが、いかがでしょうか。   吉野友二(板橋区大原社会教育会館 社会教育指導員)

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■◆  国立市の井口さんから「東京提案」コメントへのリプライ  ◆■  国立市公民館の井口です。公民館学会研究大会へのご参加お疲れ様でした。 どうしても担当事業の都合で出席叶わず残念でした。  さて、木下さん、高橋さん、神代さん、コメントありがとうございました。 あまり整理はつきませんが、とにかく私なりに考えさせられたことをいくつ か書いてみます。  特に飯田市、松本市からみた公民館職員の専門性をめぐる見解、興味深く 拝見しました。  まず、現実として公民館の職員は「一般行政との人事異動の一環で配属さ れた職員で、社会教育から見た専門性は有してい」ないこと。これは残念な がら岡山市、君津市などの例外を除けば全国ほとんどの自治体がそうでしょ う。東京多摩地域も同様です。  他方、「この地区のこと、住民のことを職員の中で一番知っているのは、 地区公民館主事」となっていくことで、「松本市職員(自治体職員)として の役割や方向性が見え」ていくこと、そうやって「飯田や松本などの公民館 は、自治体職員としての専門性の土台として公民館主事をとらえ」、自治体 ・地域のなかに公民館を位置付けている木下さん、高橋さん共通の見解は重 要だと思いました。  東京の場合、公民館が自治会・校区単位に配置されていないために、「こ の地区のこと」を深く理解していくプロセスは得にくいわけですが、「自治 体職員としての役割や方向性」を公民館の勤務経験を通して見出していくプ ロセスは、東京の公民館においても存在しているように思います。さまざま な地域課題、社会問題を学習課題として扱い、住民と共に学び実践するなか で他の行政機関と時に連携し、時に対立することを経験し、「自治体職員と しての役割や方向性」を見つけていくこと。公民館という職場は、「自治体 職員としての専門性」を養う場でもあるということですね。  しかし、その中身はただ「地域を理解する」ということだけでもない気が して、ではどのような力量が形成されたのか、それを考えるために、やはり 公民館職員固有の「専門性」の存在も議論しなくてはいけないように思いま す。「専門性」と呼んでしまうと知識や技術を連想してしまうわけですが、 むしろここで重要なのは公民館職員としての姿勢や倫理を形成する理念(E SDなど)や学習(集団的な研修機会など)なのかもしれません。とりわけ 飯田市や松本市が公民館職員の研修や職員集団の機能を豊かに有しているこ とも重要だと思われます。  そうやって考えていくと、「東京提案」のなかで「都市公民館」としての 役割を強調しすぎたような気もしてきました。都市型公民館/農村型公民館、 地域教育計画型/郷土振興型など、分類してそれぞれの背景を捉えることも 必要ですが、もっと共通性こそ考えなくてはいけないのではないか。そんな ことも考えさせられました。  例えば、第一にESDという理念をどのように共有していくのかという課 題です。昨年の岡山市の国際会議では、ESDという概念で都市型・農村型 を貫いた公民館(飯田、松本、国立、板橋、岡山など)の価値が議論されま した。それを引き継いだ関ブロ大会では、ESDを「持続可能な社会づくり」 と捉えて、公民館がどのような役割が担えるのか、という問題提起はなされ ましたが、公民館職員への理解はまだ浅く、実践的な模索もこれからです。  ESDという言葉の理解・普及よりも、「ESD的な」価値観・志向性をど のように公民館の役割と関連させて定着させていくのか。それを阻むものは なんなのか。  などなど他にも考えたい共通点があるのですが、ダラダラと長くなったの でそれはまた今度にして、神代さんからの「この文書の宛先は誰か?」への リプライを先にしておくと、「東京提案」の「宛先」は公民館職員・関係者 を意図していました。公民館がある意味で「危機」の時代にあるからこそ、 まずは公民館職員こそがもっと公民館「実践」のことを考える必要があると 思うのです。「東京提案」を作成してきた自主研究会「多摩社会教育ネット ワーク」では、いつもそれぞれが向きあっている実践のあり方が語られるの ですが、そうした機会がもっと増えていくと良いと考えています。神代さん ご指摘の「公民館職員が社会とつながってない」理由は、公民館職員として の自覚=アイデンティティの欠如の問題のような気もします。  ちなみに、「首長を含む自治体職員」や「住民」に対して公民館活動の意 義を発信する試みとして、今年プローモーションビデオ制作で取り組んでみ ました。以前に「公民館の風」でもご紹介しましたが、しつこくご案内です。 未見の方ぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=7Jm8zhz2M7o ======================================================

■◆  「つなげよう、支えよう森里川海」全国リレーフォーラム                    ミニフォーラムin倉敷    ◆■

 環境省では、森里川海の恵みを将来世代につなげるための普及啓発と仕組 みづくりとして「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトを進めてお り、倉敷市も賛同しています。  この度、倉敷市では、環境省と共催で、ミニフォーラムを開催することと なりました。ぜひ、ご参加くだいさい! 日  程:平成27年12月18日(金)14:00~16:00(予定)13:30 受付場所:倉敷市環境学習センター(岡山県倉敷市水島東千鳥町1-50) 参加費 :無料 主催  :環境省    共催:倉敷市 プログラム(予定) (1)主催挨拶 (2)共催挨拶 (3)「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの紹介 (4)事例発表「豊かな海を取り戻すために! -貝殻を利用した海の再生-」    片山貴之氏 (海洋建設株式会社 水産研究所 研究調査部部長) (5)基調講演「岡山県の木 赤松は『桃太郎松』で再生」     笹田富夫氏 (倉敷地域森づくりの会会長) (6)参加者による意見交換とメッセージ記入   ・詳細 http://www.city.kurashiki.okayama.jp/26717.htm

============================================================= ■新聞記事等の紹介■ ------------------- ◆◆ ESD推進へ公民館の役割考えて 13日に岡山でイベント ◆◆  持続可能な開発のための教育(ESD)推進に向けて、公民館の果たす役 割について考えるイベント「あなたのまちの『Kominkan』で地域の 未来を創る。」(岡山市など主催)が13日、同市中区小橋町の中央公民館 で開かれる。 http://bit.ly/1RN2ihq                        2015/12/12【山陽新聞】 -------------------- ◆◆   「島まるごと図書館」学校も公民館も 海士町  ◆◆  海士町が、学校や公民館などを図書分館とする「島まるごと図書館構想」 を進めている。図書館のない島だったハンディを逆手にとり、予算も人も少 ない町ならではの運営が、分散型図書館サービスの先駆けとして昨年、表彰 された。 http://bit.ly/1O4umNB 2015/12/09【朝日新聞】 --------------------- ◆◆  予算ゼロ、不用電飾でイルミネーション     来年1月11まで栃木・都賀公民館 ◆◆ 家庭で不用になったクリスマス用の電飾を再利用したイルミネーションの 点灯式が10日夕、市都賀公民館で行われた。市民から寄贈してもらったツリ ーやサンタクロースの電飾を飾り「リサイクルページェント」と命名。電気 代を除いて予算ゼロというユニークな試みだ。来年1月11日まで点灯し、公 民館を華やかに彩る。 http://bit.ly/1J6uMM7 2015/12/12【下野新聞】 ======================================================== ■編集後記■ ◆今号は東京提案に対する吉野さんのコメントと、最初に提案をもとに投げ  かけてくださった井口さんからのコメントへのリプライを掲載しました。  おりしも土曜日日曜日と和歌山大学で日本公民館学会の研究大会が開かれ  ています。発行人も土曜日の12日に参加しました。初日の午後のプログラ  ムは「なぜ、いま、公民館なのか」をテーマとした公開シンポジウムで、  和歌山県下の3自治体からの報告をもとに考え合いました。どなたか、少  し詳しめの報告を書いていただけないでしょうか。 ◆13日の日曜日は岡山市で昨年の国際会議1周年を記念して?公民館ESD  フォーラムが開かれました。発行人もそちらを優先して午前中に岡山に戻  り、参加しました。公民館のヘビーユーザー・ライトユーザー・知らない  人、そして公民館職員というようにグループ分けして、30年後の公民館  の姿を想像しながらのワールドカフェからのパネルディスカッションでし  た。こうした企画で何が成果としてもたらされたのかも「風」に投稿して  報告いただければ、先の東京提案と重ねて、より面白い議論につながるの  ではないかと思っています。                (光俊)

About Me.

「公民館の風」の発行人。岡山市で社会教育主事を30年あまり務め、中央公民館にも9年間勤務。現在、生涯学習課公民館振興室で公民館事業の指導等の仕事をしています。

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