公民館の風第290号(通算922号)
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 公民館の風 No.290(通算No.922) 2015年12月2日発行 編集・発行 内田光俊 (mitsutoshi-u@o.email.ne.jp) 〒702-8044 岡山市南区福島2-19-9 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆飯田市の木下さんのコメント◆羽咋市の公民館研究集会の報告◆岡山市ESD フォーラム案内◆岡山ESDニュース2号◆新聞記事等◆編集後記 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
■◆ 飯田市公民館の木下さんからのコメント ◆■
飯田市公民館の木下です。関ブロ東京大会に参加した感想です。 パネラーとしてはかなり言葉足らずであったことと、参加された顔ぶれが 「東京宣言」に象徴される「都市」型公民館と、東京以外の他地域から参加 された「農村」型公民館という、参加された顔ぶれのどなたに向けた話をし ていくかという焦点がうまく絞ることができなかったことで、中途半端な発 言となってしまったことを反省しています。 日本公民館学会に参加していつも感じることなのですが、学会に集う現場 職員の多くは、公民館あるいは社会教育の仕事に対しての専門性を志向する 方たちであるととらえています。 これに対して飯田や松本などの公民館は、自治体職員としての専門性の土 台として公民館主事をとらえる傾向があると感じています。 12月12日、13日に和歌山で行われる日本公民館学会の研究大会の初日は、 和歌山大学が主催する「生涯学習フォーラム」を併催していますが、ここで は和歌山県内の3つの市から、地域自治の拠点としての公民館に対する再評価 の事例が報告される予定です。海南市は新たに設置する公民館の取組み、橋 本市は公民館職員の充実を目指す取り組みなど、和歌山県内では和歌山大学 の後押しもあって、公民館制度や職員の充実を図ろうとする動きがみられま す。これら公民館の職員は、行政職員ではあるものの、一般行政との人事異 動の一環で配属された職員で、社会教育から見た専門性は有していません。 これは飯田や松本も同様です。 これらの地域に共通するのは少子高齢人口減少の地域の中で、地域の自立 的、持続的発展のために何よりもそこに住む住民自身が自分たちの課題を自 分たちで解決できる力をつけていくことと、そういう住民活動に自治体職員 が寄りそうことを通して、民主的な団体自治の担い手として育っていく、住 民自身の育ちと自治体職員の育ちが実現する場所として公民館が機能するこ とが狙いではないかととらえています。 9月21日の日本公民館学会の公民館構想研究会で会長の上野景三先生が「新 たな公民館ビジョンを求めて」というテーマで基調提案をしていただきまし たが、この中で「現代公民館論(日本社会教育学会、1965年)」で小林文人 先生が次のような公民館の2つの類型を示されたというお話が印象に残ってい ます。 一つは地域教育計画の一環として編成される社会教育計画(地域教育計画 型)に基づき設置運営されるという考え方に立ち、公民館を一つの社会資源 としてとらえ、学校教育との関連が重視されるタイプ。もう一つは「村づく り・町づくり」運動の一環として樹立される社会教育計画(郷土振興型)に 基づき設置されるという考え方に立ち、公民館が他の行政領域との連絡・統 合であり、公民館が計画の主要な中枢を担うという村づくりの万能論的役割 が期待されるタイプ。 飯田市や松本市はこの両者を統合した形を模索しているのではないかとと らえ、これからの公民館がその価値を将来も保ち続けることができるために はこのタイプを志向することが必要なのではないかと考えているところです。 飯田や松本市における公民館の主事は、公民館で住民自治を支える団体自治 の実を上げるための土台をつくり、その後様々な自治体の領域で、住民主体 の活動を、自治の伸長と地域課題の解決に向けてファシリテートしていくこ とのできる力量を形成するための現場ととらえているのではないかと思いま す。 井口さんの課題意識にお答えできる話ではないのですが井口さんの問題提 起に対するとりあえずの私のコメントとさせていただきます。 ************************ 〒395-0085 長野県飯田市吾妻町139番地 飯田市公民館 副館長 木下巨一 tel 0265-22-1132 fax 0265-22-1022 e-mail ic1267@city.iida.nagano.jp 公民館には特定の役者も演出家も用意されていない。 舞台装置も脚本家も何もかも一切合財皆がやるのだ。 そして観客は一人も居ないのである。… 面白い芝居を見ようとするのではなく、 良い芝居を演じようとするのである。… 公民館には観客は一人も居ないのである。 〔昭和23年3月竜丘村(現飯田市竜丘)公民館報 第1号、初代教養部長橋本玄進氏の言葉より (「地域と公民館~自治への憧憬」(木下陸奥氏著、南 信州新聞社刊より引用))〕 ************************ ======================================================
■◆ 金沢大学の浅野さんから羽咋市の公民館研究集会の報告 ◆■
金沢大学の浅野です。「公民館の風」による全国の公民館活動に係る情報 提供ありがとうございます。公民館の風第288号で取り上げていただいた記 事について,少しコメントいたします。 11月28日,石川県羽咋市(はくいし)での公民館研究集会で、「公民館で の学びと地域づくり」をテーマに、公民館職員そして各館に置かれている運 営審議会委員の皆さんを前に話す機会を得ました。 皆さんご覧になったかもしれませんが,TBS系で7月の下旬から日曜日に 唐沢寿明さん主演で「ナポレオンの村」が放送されました。その原案は「ロ ーマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をした か?」であり,羽咋市職員の高野誠鮮(たかの じょうせん)さんが著した ものです。 市職員ではありますが,従来の公務員像(あると仮定して)とは大きく異 なった視点で,地域づくり,まちおこしに取り組んでいる方です。 集会において,浅野は,公民館での学びにおいて地域を見る,観る,覧る, 診る視点をもつ地域の担い手を育てる意義や,公民館職員等の学びの支援者 の側に求められる「力」として,地域を見つめる力,地域課題を発見・分析 する力,地域住民を巻き込む力,住民の思いを汲み取れる力,事象全体を俯 瞰する力,学びの場や機会を企画する力,データや資料を活用する力,など を私的提示しました。 浅野自身にとってもいい学びの機会となりました。
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■◆ 岡山市の公民館ESDフォーラムのご案内 ◆■
みなさま。12月13日は、ESD岡山アワード贈呈式とともに、公民館 ESDフォーラム「Kominkanで地域の未来をつくる」が開催されま す。 日頃、公民館を利用されない方も、この機会に一緒に、持続可能な地域コ ミュニティと公民館の可能性について、ワイワイ語り合ってみませんか。 参加者募集中です! 第一部 10時~12時 ESD岡山アワード贈呈式/記念行事(授賞事業報告) ・カンボジア農村地域におけるコミュニティ図書館(CLC)事業 (公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(カンボジア・日本)) ・気候変動がもたらす悪影響に対処するための森林と生物多様性の保全、 教育、社会、経済、環境からの持続可能な開発に向けた取組 (Dhaka Ahsania Mission (DAM) (バングラデシュ)) ・岡山市京山地区ESDプロジェクト(岡山市京山地区ESD推進協議会) ・和気閑谷高校 高校魅力化事業(岡山県立和気閑谷高等学校) お昼 12時~13時 こうじカフェ&うどん亭つどい出店 第二部 13時~15時10分 ワールドカフェ 15時20分~16時30分 パネルディスカッション 山口航輝(岡山大学法学部学生 ESD大学生インターンシップ参加) 大安喜一(ユネスコダッカ事務所プログラム・スペシャリスト) 中原淑子(岡山市議会議員) 若林潤一(吉備公民館ボンジュール・パソメンバー) 入野曜子(建部町公民館職員) コーディネーター 石原達也(ESD・市民協働推進センター) ************************************** 岡山市市民協働局ESD推進課 友延栄一(とものぶえいいち) TEl: 086-803-1354 FAX: 086-803-1777 E-mail eiichi_tomonobu@city.okayama.jp http://www.city.okayama.jp/esd/esd_00078.html ***************************************
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■◆ 岡山ESDニュース2号のご紹介 ◆■
みなさま、岡山ESDニュース2号を発行しました。 先日発表されたESD岡山アワードの授賞事業の紹介と、授賞式、公民館ESD フォーラムのご案内です。 ご一読いただければ幸いです。 ************************************** 岡山市市民協働局ESD推進課 友延栄一(とものぶえいいち) TEl: 086-803-1354 FAX: 086-803-1777 E-mail eiichi_tomonobu@city.okayama.jp http://www.city.okayama.jp/esd/esd_00078.html ***************************************
============================================================= ◆◆ 「地域を元気に」公民館活動探る 安中で研究集会 ◆◆ 「地域を元気にする公民館活動」を研究テーマに、県西部地区の公民館関 係者が一堂に会する「西部ブロック公民館研究集会」が安中市松井田文化会 館であった。公民館事業のあり方や役割等などの研究討議の場として、同公 民館連絡協議会などが年に一度開催。高崎・藤岡・富岡・安中の四市の各地 区公民館や生涯学習施設などの利用者、公民館運営審議会委員、職員ら約二 百人が参加した。 http://bit.ly/1TmkLAg 2015/11/27【東京新聞】 ------------------------------------------------------- ◆◆ 高齢者に“ひだまりの店” 西区の公民館で ◆◆ 1日限定の「まいさかまちかどショップ」が29日、浜松市西区舞阪町の 仲町公民館にオープンし、地元住民らでにぎわった。浜名商工会商業部舞阪 支部が主催。町内で廃業する店が多くなり、お年寄りの買い物難民が増えて きたことから、買い物と交流の場を提供しようと初めて開いた。 http://bit.ly/1loZSZD 2015/11/30【中日新聞】 ------------------------------------------------------- ◆◆ 受験生を応援! 願い事をツリーに 青山公民館 ◆◆ 受験生を応援しようと、伊賀市阿保の青山公民館のロビーにクリスマスツ リーが設置され、願い事カードの飾り付けが始まった。この時期は、期末試 験や受験勉強を控えた生徒たちが、館内の図書室やロビーで自習することか ら「少しでも気持ちを楽にしてもらおう」と、毎年ツリーの設置を続けてい る。 http://bit.ly/1ItImIZ 2015/11/25【伊賀タウンニュース情報YOU】 ======================================================== ◆前号に国立市の井口さんの投げかけを掲載しました。するとさっそく、関 ブロ東京大会に参加された飯田市の木下さんからコメントが届きました。 都市型の公民館のありようと、木下さんが書かれている飯田市の公民館が 追求している道の違いを踏まえ、飯田や松本の公民館進もうとしている道 でこそ、公民館がその価値を将来も保ち続けることができるのではという 提起と受け止めました。皆さんはどうお考えでしょうか。石川県羽咋市で の公民館研究集会で「公民館での学びと地域づくり」をテーマに講演され た、金沢大の浅野さんからの投稿も合わせて掲載しました。ここでも地域 づくりの担い手が育つことにどう公民館の学びが活きるのかといった内容 が論議されたように思います。皆様もぜひご意見やご感想をお寄せくださ い。 ◆今号では、12月13日に岡山市の中央公民館で開かれる公民館ESDフォー ラムのご案内をチラシを添付して掲載しました。午前中は今年から始めら れたESD岡山アワードを授賞された団体の事業の報告や表彰が行われます。 国際的な賞なので、ダッカ・アサニア・ミッションも受賞者として招へい されているはず。その意味では国際的なイベントでもあります。そして午 後からがフォーラムで、ワールドカフェとパネルディスカッションが行わ れます。魅力たっぷりのイベントです。昨年の「公民館-CLC国際会議」か ら1年。公民館で何をどう進めようとしているのか、地域コミュニティづ くりの拠点としての公民館の可能性を考えるというテーマが示されていま す。ここでも上で書いた公民館の進むべき道が論議されるものと思います。 もちろん市民以外の方の参加も大歓迎です。公民館学会の研究大会と重な ってはいますが、ぜひご参加ください。 (光俊)