公民館の風第203号(通算835号)
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 公民館の風 No.203 (通算No.835) 2014年11月15日発行 編集・発行 内田光俊 (mitsutoshi@u.email.ne.jp) --------------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆国立市の井口さんから◆あいちなごや宣言◆フォーラム案内◆編集後記 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
■◆ 国立市公民館の井口さんからの風 ◆■
国立市公民館の井口です。遅くなりましたが200号到達おめでとうございま した。引き続きよろしくお願い申し上げます。岡山で報告させていただいた 国立市の3名もこれを機に風の仲間に加えていただければ幸いです。3人と も内田さんをはじめ、岡山で出会ったみなさんとの交流が今後も続いていく ことを楽しみにしております。 ところで、「公民館の風」でもNo.189でひっそりご紹介いただいて いましたが、8月31日、「哲学と憲法学で読み解く、民主主義と立憲主義」 という学習会が国立市公民館で開かれました。その講演と対談の記録をもと に構成された論考が、朝日新聞社による論壇サイト「WEBRONZA」に 連載されました。10月17日から11月11日まで全9回、非常に読み応えのある内 容ですので、参考までに以下一覧をご紹介させていただきます。 ◇哲学者・國分功一郎【哲学で読み解く民主主義と立憲主義】 (1)―7・1「閣議決定」と集団的自衛権をどう順序立てて考えるか (2014/10/17) http://astand.asahi.com/magazine/wrculture/special/2014101600010.html?iref=webronza (2)―解釈改憲に向かう憎悪とロジック(2014/10/18) http://astand.asahi.com/magazine/wrculture/special/2014101700006.html?iref=webronza (3)―民主主義と立憲主義はどういう関係にあるのか?(2014/10/20) http://astand.asahi.com/magazine/wrculture/special/2014101700007.html?iref=webronza ◇憲法学者・木村草太【憲法学で読み解く民主主義と立憲主義】 (1)―「多矛盾系」としての集団的自衛権(2014/10/23) http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014102200009.html (2)―憲法73条から集団的自衛権を考える(2014/10/27) http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014102500005.html (3)―ネッシーは本当にいるのか?(2014/10/30) http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014102900008.html (4)―二つの憲法の対立(2014/10/31) http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014103000009.html ◇対談 國分功一郎×木村草太 【哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義】 (1)―憲法制定権力とは何か?(2014/11/10) http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014110800005.html?iref=webronza (2)―筋道を発見する(2014/11/11) http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014111000011.html
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■◆ 「ESDに関するユネスコ世界会議」が閉幕 「あいちなごや宣言」に生涯学習が盛り込まれました ◆■
11月10日から12日まで、あいち名古屋の国際会議場で「ESDに関するユ ネスコ世界会議」が開催されました。最終日に採択された「あいちなごや宣 言」には、生涯学習の重要性も盛り込まれています。 詳しくは天賦の報道発表資料をご覧いただきたいと思いますが、宣言の中 で「その12.」に次のような表現が盛り込まれています。「ESDの五つの 優先行動分野である政策支援、機関包括型アプローチ、教育者、ユース、地 域コミュニティにおいて、フォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルな 環境における、包括的な質の高い教育及び生涯学習をとおして、GAP開始 のモメンタムの構築及び維持を約束し」 また、「15.」の「b)」では「特にGAPの五つの優先行動分野に沿った 国内及びサブナショナルレベルのフォーマル及びノンフォーマルな教育・学 習の両方に必要な機関の能力を構築するなど、政策を行動に移すために実質 的な資源を配分、結集し」という文書も入っています。ここにノンフォーマ ルも含めた機関の能力を構築するという記述か入っていることにも注目しま した。 国際会議開始時に示されていたドラフトには、生涯学習の文字は入ってい ませんでしたから、岡山市としてまたワークショップのファシリテーターを 担ってくださったロビーさん(ASPBAE会長)さんなどが意見を出したこと、 UILのアルネ・カールセン所長さんなどの努力の成果かと思います。 国際会議二日目の午前中に行われたワークショップの一つは岡山市とUIL がコーディネートして開催されました。80~90名程度の参加があり、まずま ずの規模になりました。ワークショップではまず岡山市長が挨拶し、その中 で岡山市のESDの取組み、特に公民館を地域拠点としたESDの推進という特色 にもふれながら10月に開催した「ESD推進のための公民館-CLC国際会議」で 「岡山コミットメント2014」を採択したことなどを紹介しました。その後、 ロビーさんが「岡山コミットメント2014」の内容について、ひと項目ずつ詳 しく紹介しました。また、事例報告的に日本の公民館とインドネシアのCLC によるESDについて、国研の笹井さんとインドネシア教育省のエラさんが報 告しましたが、公民館の報告では岡山市の公民館ESD実践集「れんめんめん」 を使いながら笹井さんが話してくれたので、参加者は皆「れんめんめん」を 開いて目を通してくれました。岡山コミットメントとともに岡山の公民館の 実践を世界の人たちに知ってもらえたことは、岡山はもちろん日本の公民館 にとっても意味のあることだったと思います。 最終日に参加者全員に配られたニュースペーパーを参考までに添付しまし た。この中でも我々のワークショップが紹介されています。(もちろん海外 からの参加者には英語版が配られたとのことです) ============================================================
■◆ 長寿社会における生涯学習政策フォーラム2014 in 東京の開催 ◆■ 今日、地域の課題に対応し、地域の活性化を図るため、共助の精神によっ て住民同士が支え合う活動を促進することが重要となっています。多様な人 生経験や知識・技能を持つ高齢者も、支えられるだけの立場から、支える役 割を担っていくことが必要となってきており、活動を行うことで元気な高齢 者が増えれば、活気ある社会の創出にもつながります。 本フォーラムでは、学びを様々な分野での活躍につなげている先導的な事 例を紹介し、参加者全員で「共助」と高齢者のための学びの場・活動支援の ためのプラットフォームの在り方について探ります。 日時 平成26年11月25日(火曜日)10時30分~16時00分 ・グループディスカッションでは、いくつかのグループに分かれて参加して いただきます。定員超過の場合、一部の方に傍聴席に移動していただく場 合がございますのであらかじめ御了承ください。 ・昼食は御用意しておりませんので、近隣の飲食店等を御利用ください。 会場 日経カンファレンスルーム (東京都千代田区大手町1-3-7 日経ビル6階) 主催 文部科学省 後援 内閣府、厚生労働省、総務省 登壇者 基調講演:牧野 篤(東京大学大学院教育学研究科教授) 事例発表:永塚 洋一(柏市保健福祉部福祉政策課副参事) 杉浦 正吾(第3の居場所・学び舎”ネクスファ”代表) 黒江 裕子(豊島区学習・スポーツ課コミュニティ大学グループ 係長) 小池 陸子(ボランティアガイド「としま案内人 雑司ヶ谷」会長) 申込方法 ・事前申込みが必要となりますので、所定の申込書(チラシ裏面)に必要事 項を御記入の上、下記問合わせ先までメール又はFAXからお申し込みくださ い。 ・申込みの際は、下記の事項を御記入ください。 1.氏名 2.所属先等 3.連絡先(住所・電話番号・FAX・E-mail等) ・なお、応募の際に収集した個人情報は、本フォーラム開催以外の目的には 使用しません。 申込期限 平成26年11月20日(木曜日) プログラム 長寿社会における生涯学習政策フォーラム2014 in 東京チラシ表面 (PDF:242KB) 長寿社会における生涯学習政策フォーラム2014 in 東京チラシ裏面 (PDF:216KB) お問合せ先 生涯学習政策局社会教育課 電話番号:03-5253-4111(内線2970) ファクシミリ番号:03-6734-3718 メールアドレス:syakai@mext.go.jp http://is.gd/9PeXjx
=========================================================== □□編集後記□□ ◆発行人も正式参加者の一人として名古屋での世界会議に参加してきました。 おもに岡山市が担当するワークショップの運営のための参加だったので、 残念ながら最終日のあいちなごや宣言の採択時には岡山に戻って、次の国 際会議の準備に当たっていましたから、採択の様子を見られませんでした が、生涯学習、ノンフォーマル教育の重要性が盛り込まれたことはうれし いことでした。岡山での公民館-CLC国際会議の成功とそれを受けてのワー クショップの運営を通して、協力してくださった皆さんの尽力のおかげで すが、ベースには岡山市の公民館の10年間の実践の蓄積があり、それをう まく「れんめんめん」等で表現し、国際会議の準備と実施を通して関係者 の中にノンフォーマル教育の重要性、公民館の可能性を広げてきたことが あると思います。 ◆あいち名古屋での国際会議は、各国の閣僚級が参加する会合をメインにし たもので、正式参加者は事前に割り当てられた数に合わせてユネスコに申 請し、招待メールをもらってネットで登録するというプロセスを経て、よ うやく参加者として認められるという手の込んだプロセスを踏まされまし た。一応ワークショップをコーディネートする側のエキスパートとしての 登録でしたから、閣僚級会合の会場以外は自由に入れました。しかし、サ イドイベント参加者は入れないところが多く、メインエントランスに続く アクアリウムも真中で仕切られて、こからは入ってはダメと警備員に止め られるという調子でした。しかも初日は皇太子の参加のために、通行を遮 断されたり、追い出されたりして、30分くらい立ったままで待たされたり しました。食事も今イチで、会場横の通路スペースに簡単な昼ごはんが並 べられて、立ったまま食べると言う感じでした。ワークショップを終えて 外に出ると、並んでいた食事はきれいに片づけられていて、昼食抜きにな るという状態。おかげで、岡山と名古屋の両方を体験した参加者は、岡山 の方がすばらしかったと口々に言ってくれていました。名古屋は自分たち の自由にできない条件が多いので、もともと不利なのでしょう。それに会 場も大きい分わかりにくいから、参加者には不親切に思えてしまうのかも しれません。それにしても、10年間ESDを頑張ってきた多くのNGO関係者が 入れないゾーンが多く、海外の関係者との出会いが少なかったのではない かと思えるところは残念でした。 ◆ともあれ、今回の国際会議はDESDに続くグローバルアクションプログラム のスタートでもありますから、10年間でできた地盤の上に、これからいよ いよESDの実践を積み重ねていくということになるのでしょう。特に国内の 公民館ではまさに始まったばかりというところですから、ESDの観点を公民 実践の中に広げていく取組みが求められていると思います。 (光俊)