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公民館の風第200号(通算832号)

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 公民館の風 No.200 (通算No.832)                                 2014年10月28日発行       編集・発行  内田光俊 (mitsutoshi@u.email.ne.jp) --------------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆ジャカルタステートメント◆島田、山田、渡邊先生からの風◆新聞記事◆ 編集後記 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

■◆  ジャカルタステートメントのご紹介  ◆■ 「Nurturing a Care, Fair and Share Society through CLCs」と題された 「ジャカルタステートメント」は今年9月にインドネシアのジャカルタで開 催された「International Seminar on Empowering Community Learning Centers in Enhancing Learning Society through Education for Sustainable Development」という国際セミナーで採択された成果文書です。  この成果文書は10月に岡山市で開催された「ESD推進のための公民館-CLC 国際会議」で披露され、正本は岡山市長に手渡されました。これはこの国際 セミナーの成果を岡山での国際会議に反映することを前提にして、インドネ シア教育省がこのセミナーを開いたことから実現したものでした。  そのため、前号で紹介した「岡山コミットメント2014」の中で、このステ ートメントについて「私たちは、2014年9月に採択された「ジャカルタ宣言~ CLCを活用したCare(思いやり), Fair(公平), Share(分かち合い)の社 会~」をはじめとする、これまでの地域的、世界的な会議の成果に敬意を払 う」と記しているのです。

=================================================== ■◆   島田修一先生から  ◆■

 たいへんな大仕事をやり遂げましたね。成功!心からお祝いの言葉を贈り ます。この事業をやり遂げたのが、うちの卒業生であることを誇りに思い、 そこに、貴兄の柔軟で、見通しを失うことのない強さを感じて、本当に嬉し く思います。寄せられる評価をめぐっては、いろいろな感想を持つことでし ょうが、海外の人や社会教育に限られない幅広い人びとを含め、公民館の意 義やCLCの現代的課題を、このように、多くの人の間に多様な議論を巻き 起こし、励まし合いと連帯を生み出したことに、貴兄も大きな自信を持った ことでしょう。この事業が、広い意味での社会教育研究の発展と現代におけ る学習運動の展望につながることに大きな期待を持っています。おめでとう、 本当にご苦労様でした。  私は、明日、社会教育・生涯学習研究所の地域セミナーとして、この笠間の 地で、私たちがこの間取り組んできた「戦争と平和展」と「満蒙開拓青少年 義勇軍」の悲劇の歴史をふまえた学習と交流の集いを持ちます。これは私な りに考えている「PEOPLE’S COLLEGE」の一環でもあります。 今日はこれからその準備です。久しぶ りに公民館主事に戻った気分で張り 切っています。  2014年10月25日                    島田修一

=================================================== ■◆   大阪教育大学の山田正行先生から  ◆■  以下の短文、ご参考に。  藤田秀雄先生は「宮原先生は公民館委員が任命制になったら大きなダメー ジになると言っていた」と語った(2014年10月8日、大阪にて)。  また、藤田先生は「寺中作雄と宮原先生は鋭く対立していた。寺中は内務 官僚で、宮原先生はそれに弾圧されたのだ」とも述べた(同上)。  参考までに、戦前の寺中作雄の「学徒勤労令解説」(1944年)について見る と、「勤労即教育」を「根本的指導方針」として、「思いやりのある配慮を することである。かくして初めて学徒は意気に感じて専心勤労に挺身し誠心 誠意作業に没頭することが出来る」と書いている。表現は温和だが、藤田の 『戦中戦後 少年の日記 一九九四-四五年』(同時代社、二〇一四年)を 読めば、「勤労即教育」の実態が児童強制労働であったことが分かる。  このような寺中が戦争責任を逃れ、戦後の文部省で社会教育課長となった。 しかも、戦後民主化の脈絡で自己教育・相互教育としての社会教育を代表す る「寺中構想」という言葉が使われた。この「寺中構想」は、誰が作ったの か? メディア・リテラシーが問われる。  藤田先生はさらに、戦後の社会教育法制度は、課長の寺中の上にいた局長 の柴沼直や視学官の駒田錦一、山室たみ、小和田武紀、二宮徳馬たちリベラ ルな方が果たした役割が大きいと語った。彼(女)たちは、マッカーサーの 憲法草案に第二十五条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営 む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及 び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」を入れさせることでも 努力したという。  私は戦後の社会教育では、寺中よりも鈴木健次郎の方の意義が大きいと考 えてきたが、藤田先生のご教示により、この点を再確認、補強できた。 ---- 藤田編著『日本社会教育史』(エイデル社)p.234では、以下のように記さ れているとの情報がありました。小生の手許に文献がないので(恐らく学生 が返さない・・)、未確認ですが、それに以前、確かに読んだのですが、す っかり忘れてボケを再確認です。 「社会教育法は、文部次官通牒「公民館の設置運営について」と比べると、 あきらかに、公民館の住民自治の規定が後退した。①館長・職員の任命は 「教育長の推薦により、当該市町村の教育委員会」によっておこなわれるこ とになった(第28条)。②館長任命に関しては公民館運営審議会の意見をきか なければならないという規定がわずかに残されたが(同条)、審議会は、公民 館の一切のことについて決定権も、拒否権ももたない。③しかも審議会委員 は、公民館委員会の場合原則として公選であったのに反し、教育委員会委嘱 となった。すなわち、公民館は教育委員会からの独立性が希薄になり、その 下におかれることになったのである。 1948年7月、教育委員会法が制定され、教育委員会は公選となった。公民館 運営審議会委員選任を公選としないことにしたのは、教育委員公選によって 必要ないと考えられたとも考えられる。しかし国会審議で、この点への批判 が示された。 証人として意見を述べた9人のうち、江口泰助(日教組)、横山佑吉(日本青 年館)、神近市子、関忠志(ボーイスカウト日本連盟)の4人が反対意見をのべ た。文部省の鈴木健次郎も、この点を「可成り多くの問題を残す」とのべて いた。」これは宮原・鈴木対談「社会教育法十周年と社会教育の現実」(『月 刊社会教育』1959年6月号)に合致しています。

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■◆  香川大学の渡邊安男先生からの風  ◆■

 こんにちは。渡邊安男です。いつもお世話になっております。  ご存知のように標記の「第9回私たちのまるごと新聞展」が10月26日(日)に 倉敷市の児島市民交流センターにて開催されました。  倉敷市の主婦らで作る「いどばたNIEの会」(赤星由紀子代表、15人)の主 催で、市民ら約50人が参加。私も道徳の教科化、表現の自由、マスコミへの 規制の強化などの問題について「新聞記者とのトーク」のコーナーのときに 記者たちに質問してきました。  そのときの様子が今日(10月27日)の「読売新聞」の岡山県内版をはじめ、 「毎日新聞」の県内版、「山陽新聞」などに掲載されているようです。  内田さんは岡山在住ですので、それらの記事をご覧になり、いつもの「風」 の「新聞記事」などの欄に掲載されたらよいのでは、と思います。  来年の秋の開催時には「私たちのまるごと新聞展」も第10回目を迎えるこ とになるので、NIE(新聞を教育に!)のメンバーたちも画期的なことをめざ して今からみんなで力を合わせて励んでいるようです。 ---------- 香川大学名誉教授・香川大学非常勤講師 渡邊安男 〒761-0121 香川県高松市牟礼町牟礼370-4 TEL&FAX:087-845-3295 E-mail:wataya@pe.kagawa-u.ac.jp

========================================================== ◆◆ ESD世界会議 成果を岡山で形に残そう ◆◆  環境破壊、貧困、紛争…。地球上には、さまざまな課題が横たわっている。 将来に向けて人類が安心して暮らしていくためには、これらを克服し、持続 可能な社会を築いていかなければならない。その担い手を育てるESD(持 続可能な開発のための教育)に関するユネスコ世界会議が9日、岡山市での 「公民館―CLC(コミュニティー学習センター)国際会議」を皮切りにス タートした。岡山市で国連機関の国際会議が開かれるのは初めてである。成 果を期待したい。一人一人が身近な問題から考え、主体的に実行していく力 や、意識改革などを育んでいくことが重要だ。岡山市では、公民館や学校な どを中心に市民レベルのESD活動が進められ、05年には国連大学から地 域推進拠点7地域の一つに選ばれた。会議の開催地に認められたのも、そう した点が高く評価されたといえる。その蓄積を内外に発信してもらいたい。 http://is.gd/uWNmy6 2014/10/10【山陽新聞社説】 --------------------------------------------------------- ◆◆  日本の公民館のような機能を持つ…  ◆◆  日本の公民館のような機能を持つ地域拠点が海外でも広がってきていると いう。CLC(コミュニティー学習センター)と呼ばれている▼岡山市で開 かれていた「公民館―CLC国際会議」がきのう閉幕した。29カ国から約 700人が参加し、公民館やCLCの在り方を話し合い、岡山の活発な公民 館活動も見学した http://is.gd/Z7UBGw 2014/10/12【山陽新聞コラム滴一滴】 --------------------------------------------------------- ◆◆  移動水族館で児島湖の生物紹介 岡山・藤田公民館で展示 ◆◆  児島湖と同湖に流入する河川にすむ魚やエビなどを紹介した企画展「児島 湖移動水族館」が、岡山市南区藤田の藤田公民館で開かれている。17日ま で。ESDに関するユネスコ世界会議の第1弾として9日に市内で始まった 「公民館―CLC国際会議」に合わせ、県備前県民局などが企画した。同国 際会議は10日、同館で環境保全をテーマにした分科会があり、出席者に展 示も見てもらう。 http://is.gd/NFpRTD 2014/10/09【山陽新聞】 --------------------------------------------------------- ◆◆ 心に残った記事や記者の仕事紹介 倉敷で「まるごと新聞展」 ◆◆  読者の心に残った新聞記事や記者の仕事を紹介する「第9回私たちのまる ごと新聞展」が26日、倉敷市児島味野の児島市民交流センターで開かれた。 新聞の面白さや活用法を伝えようと、児島地区の主婦ら15人でつくる「い どばたNIEの会」が毎年開催。会場では、会員がこの1年に関心を持った 記事の切り抜きを「教育」「環境」など分野ごとに模造紙約20枚にまとめ て掲示した。 http://is.gd/Knbau4                        2014/10/26【山陽新聞】 =========================================================== □□編集後記□□ ◆「公民館の風」の発行を担当してついに200号に到達しました。小林文人  先生が創刊され、以来、はぎわらちかこさんが110号、佐藤進さんが97号  内田純一さんが30号(数え間違いがあったらごめんなさい)を発行された  あとを引き継いで、2010年11月6日に第1号を発行して以来、4年かけてよ  うやく200号を数えるに至りました。研修会の講師として小林文人先生を  岡山にお招きした際に、先生から比較的時間がある小生に、風の発行を担  当してみないかとお誘いをいただいたことが契機で始めたのでし。発行が  止まり、小林先生から「返して」と言われたこともありました。それは頑  張りなさいという励ましにほかならず、お会いするたびに声をかけていた  だき、元気と意欲が出るアドバイスをくださったのでした。本当は、公民  館-CLC国際会議を開催したことをお知らせする号で200号にしたいと思っ  ていたのでしたが、さすがにその時までの200号到達は無理でした。  「風」は皆さんから寄せられて初めて発行できますし、魅力が出てきます。  読者の皆さんには、ぜひ引き続きご愛読いただくとともに、近況でも、行  事の案内でも結構ですし、公民館の今やこれからについてのご意見、アイ  ディア等、気軽に書いていただければ、発行人としてはますます元気がで  ます。もちろん、熱い議論も望むところです。どうぞよろしくお願い申し  上げます。 ◆渡邊安男先生からご紹介いただいた「いどばたNIEの会」の新聞展には、  以前参加したことがあり、その代表の赤星さんはESDをテーマにした社会  教育研究集会にご参加いただいたこともあります。今回は残念ながら参加  できなかったのですが、市民のNIE活動の組織というのは珍しいと思います。  山田先生からの文章に「メディア・リテラシーが問われる」とありました  が、まさにその課題に取り組んでいる団体です。PTA新聞づくり教室の講師  を毎年のように努めてきた者でもあり、この「風」の発行人でもある自分  としては、今号に載せるにふさわしい記事だと嬉しく思っています。 ◆島田先生からの文章を掲載するのは遠慮しようかとも思ったのですが、後  段だけでは先生の気持ちが読み取れないかと考えて全文を掲載させていた  だきました。島田先生のお褒めの言葉は大変光栄で嬉しいものですが、ち  ょっと背中がむずむずする感じもあります。「柔軟で、見通しを失うこと  のない強さ」と言えるほどのものが果たしてあるかと自問すると、自信を  持って胸を張れないと感じるからです。この国際会議を成功させることが  岡山市の公民館にとっても、日本の公民館にとっても大きな意味を持つこ  とについては、確かにゆるぎない確信を持って準備を進めました。会議の  内容を創り上げる上では、ESDコーディネーターとして10年間岡山市のESD  をリードしてきた原明子さんをはじめとして、仲間の優秀なスタッフたち  が、ACCUの柴尾さんや、成果文書作成委員会の委員長役を担ってくださっ  たASPBAE会長のRobbieさん、末本誠先生たちと時間のたつのを忘れたかの  ようなやり取りを重ねたことで実現できたものです。そして、公民館の現  場での職員たちの10年間の実践の積み重ねと、それをベースに国際会議を  創り上げるたるめに力を合わせたことが何よりの力になりました。そこが  この会議がもたらす財産にもなるかと思います。自分自身は力不足を感じ、   しかもその力の発揮が不十分だったかと反省するところも多々あるのです  が、これだけの会議を創りあげ、成果を上げることができる職員や市民が  岡山にはしっかり育っていることが何よりうれしいことです。その皆の力  と努力へのお褒めの言葉として受け止め、掲載させていただきました。  「この事業が、広い意味での社会教育研究の発展と現代における学習運動  の展望につながることに大きな期待を持っています」との言葉を胸に、一  層努力していきたいと思います。              (光俊)

About Me.

「公民館の風」の発行人。岡山市で社会教育主事を30年あまり務め、中央公民館にも9年間勤務。現在、生涯学習課公民館振興室で公民館事業の指導等の仕事をしています。

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